エントツドロバチの生態と特徴、安全な対策方法
エントツドロバチは、泥を使って独特な形状の巣を作るハチで、日本各地でよく見られる種の一つです。他のドロバチ同様に攻撃性が低く、人間にとって大きな危険性はありませんが、巣を作られると気になる場合もあるでしょう。この記事では、エントツドロバチの生態や巣の特徴、そして巣を作られた場合の安全な対策方法を解説します。
エントツドロバチ2つの特徴
1. 体の大きさと外見
エントツドロバチは、体長約15〜20mm程度で、他のドロバチと比べて中型のサイズです。黒と黄色の帯状の模様が体にあり、外見的にはスズメバチに似ていますが、攻撃性はほとんどありません。
- 色: 黒を基調に黄色の縞模様が特徴で、腹部に特に目立ちます。
- 大きさ: 15〜20mmと比較的小さめのサイズですが、巣作りの際には積極的に行動します。
2. 性格と攻撃性
エントツドロバチは、人間に対して非常に穏やかな性質を持っています。巣を守るために攻撃的な行動を取ることはほとんどなく、他の昆虫を襲うことはあっても、人間に刺すことは稀です。
- 防衛行動: 巣が脅かされない限り、自ら攻撃することはまずありません。スズメバチのような集団攻撃も見られません。
エントツドロバチの巣の特徴
エントツドロバチは、他のドロバチ同様に泥を使って巣を作りますが、巣は特に筒状に積み重ねられた形状を持っています。この筒状の構造が煙突に似ていることから「エントツドロバチ」という名前がついています。
1. 巣の形状と場所
エントツドロバチの巣は、泥でできた細長い筒の形をしており、筒状の部分が1つの卵のために作られています。巣は家の壁やベランダの隅、窓枠、さらには外壁などの人間の住居に作られることが多いです。
- 巣の場所: 日当たりが良くて乾燥した場所を好むため、家の外壁や軒下、ベランダ、窓枠などが選ばれます。
- 筒状の巣: 1つ1つの筒は小さく、それが並んでいる形状が特徴的です。巣の中には卵が1つずつ産みつけられ、幼虫のために餌が用意されます。
2. 巣作りの材料とプロセス
エントツドロバチは、泥を使って巣を作ります。泥を集めては口で運び、筒状に積み重ねていきます。巣は主に幼虫を育てるために使われ、幼虫が成長し巣を出ると、巣は放棄されます。
- 泥の使用: 湿った泥を集め、口で運びながら巣を作るのがエントツドロバチの典型的な巣作りの方法です。
- 巣作りの周期: 巣は春から夏にかけて作られ、卵が孵化して幼虫が成長するまでに数週間かかります。
エントツドロバチの生態と行動
1. 獲物と幼虫の餌
エントツドロバチは、主にイモムシや幼虫などを捕らえ、巣に運びます。捕まえた獲物は麻痺させ、幼虫の餌として巣に貯蔵されます。幼虫が成長するまでの間、生きたままの獲物が保存され、幼虫が巣の中で安全に育つことができます。
- 捕食方法: エントツドロバチは毒針を使って獲物を麻痺させ、動かなくして巣に運び込みます。
2. 幼虫の育て方
エントツドロバチは、1つの筒状の巣に1つの卵を産みつけ、幼虫が孵化したらその幼虫が獲物を食べて成長します。幼虫が成長し、蛹になると巣を離れ、成虫となって飛び立ちます。
- 育て方の特徴: 幼虫は泥の巣の中で安全に守られながら成長し、成虫になると独立して巣を離れます。
エントツドロバチの巣への対策と駆除方法
エントツドロバチの巣は基本的に無害であり、攻撃的ではないため、必ずしも駆除する必要はありません。しかし、家の外壁やベランダなどに作られると気になる場合もあるでしょう。そんな場合には、安全に巣を取り除く方法があります。
1. 巣を放置するかの判断
エントツドロバチの巣は、幼虫が成長して成虫になると自然に放棄されます。危険がない場合は、巣を放置しておくことも一つの選択肢です。秋頃には巣は使われなくなります。
- 放置して問題ない場合: 攻撃性がないため、巣がある場所が生活に支障をきたさない場合は、そのままにしておいても問題ありません。
2. 自分で駆除する場合
巣を取り除きたい場合は、幼虫がまだ成長していない初期の段階で駆除するのが最も簡単です。巣を作り始めたばかりであれば、泥でできた筒状の巣をヘラやスプーンで慎重に取り除くことができます。
- 駆除のタイミング: 巣が作られてすぐの段階であれば、幼虫がいないため、駆除は比較的容易です。巣を取り除いた後、場所を清掃し、再発を防ぎましょう。
3. 再発防止策
巣を取り除いた場所には、泥を使った巣作りが再び行われることがあります。忌避剤を使用するか、泥で巣を作られないように防虫ネットを取り付けるなど、物理的な対策を行うことで再発を防げます。
- 予防策: 忌避スプレーや、防虫ネットを使用して、蜂が巣を作りにくい環境を整えることが効果的です。
まとめ
エントツドロバチは、泥を使ってユニークな筒状の巣を作る穏やかなハチで、攻撃性が低いため基本的に人間に危害を加えることはありません。家の外壁やベランダに巣を作られることはありますが、危険がなければ放置するのも一つの方法です。もし巣を取り除きたい場合は、早期の駆除が効果的で、再発防止策を講じておくとよいでしょう。